摘みたてのローズマリーにお湯を注ぐ池田さん
摘みたてのローズマリーにお湯を注ぐ池田さん

 体の部分浴といえば、足湯を想像してしまうが、手を湯につける「手浴」にも注目が集まっている。植物の香りを足せば、リラックス効果が高まること間違いなし! 夏向けの手浴をご紹介します。

 用意するのは洗面器とお湯のみ。洗面器に約40度のお湯を張り、手首が浸るほどに両手を入れて10~15分。全身の血流が促され、体がポカポカになる。夏も体を冷やしすぎるのは御法度なのだ。この季節は、冷房が利く室内と暑い屋外を行き来することが多くなるが、体温の急激な変化などによる自律神経の乱れを整えることもできる。

「オフィスにマイ洗面器を持参でもいいですね」

 こう話すのは、フィトセラピスト(植物療法士)で、「日本ハンドケア協会」代表理事の池田明子さんだ。

「冷房が利きすぎる職場でひざ掛けや肩掛けを使うのもよいけれど、昼休みに、洗面器にお湯を入れて10分間手を温めるのもお勧めです」(池田さん)

 植物療法士である池田さんだからこそ、手浴に植物のアロマ効果を足すことも忘れない。
 たとえばローズマリー。シソ科の植物で紫色の花を咲かせる。すっきりとした香りで血流を促す作用があり、脳の働きを高めることで、近年はレモンとのブレンドが認知症の予防や改善につながる、と注目された。

「ローズマリーを入れましょう。摘んできますね」

 池田さんが屋上で育てているローズマリーを洗面器に入れ、そこに湯を注ぐと、香りがふっと空気を包むように漂った。湯の中でローズマリーをもむと、さらに香りが立ち、深くてゆっくりした呼吸に変わっているのを自覚できる。

 池田さんは、育てた植物を使用するが、市販のアロマオイルを使うのでもよいだろう。ローズマリーのほか、レモングラスやゼラニウムも試してみよう。

「レモングラスは血液やリンパ液の流れをよくし、代謝促進に役立ちます。虫よけのほか、抗菌、消臭作用があります。ゼラニウムはローズに似た香り。自律神経やホルモンバランスを整えるので、気持ちが落ち込んだときや更年期障害などにも有効ですよ」(同)

次のページ