「彼は日本代表でMFとして活躍していたころも控えめで、先輩を立てる選手でした。試合後のミックスゾーン(取材エリア)でも、花形選手を先に行かせて、インタビューされている間に後ろを通る印象です。だから、彼のインタビュー映像はあまり残っていないと思う。堅実なタイプで、人知れず重要な仕事を黙々とこなしていました」
就任会見でも大言壮語することなく、淡々と抱負を述べていた。日本代表にどんな流儀で臨むのか。
「森保さんはコミュニケーション能力にたけていますし、選手も話しやすい。厳しく注意しても選手を納得させられるはずです」(前出の柳本さん)
選考理由の一つは、日本サッカーを熟知しているという点だったとされる。前出の山本さんはこう解説する。
「日本では口に出して主張する選手は多くない。腹の中で思っていることを読めることが、日本におけるコミュニケーションの第一歩。森保監督は勝負のために空気を読んで動かせるところが強み。彼は会見などで選手を決して批判しないから信用される」
W杯ロシア大会後に、長谷部誠や本田圭佑ら一時代を築いた主力が代表引退を表明した。
世代交代という難題を抱えるなか、森保ジャパンの船出となる9月のキリンチャレンジカップでの活躍に注目したい。(本誌・大塚淳史)
週刊朝日 2018年8月10日号