俺の今の役目は、年寄りを元気にして、医療費を少しでも減らすことだと思っている。元気になるには、人前に出て、たくさん笑って、友達と話さなきゃいけない。
最近よく言うのが、世の中のジジイを何とかしなきゃいけないってこと。今、日本の財政の中で医療費の負担がたいへんじゃない。ババアは元気だけど、ジジイはすぐしょぼくれて引きこもっちゃう。
俺がいくつになっても元気でやってることで、年寄りの励みになるといいんだけどな。ジジイたちには、ひとりひとりが町内の「毒蝮」になってほしい。どんどん人前に出て、面白いこと言って。いい歳なんだから世間体なんか気にしてないで、好き勝手なこと言い合って笑ってりゃいいんだよ。
自分が90になって、人のことジジイ、ババアって言ってるのも面白いんじゃないの。
長いこと生きてるけど、まだやったことがないのは、死ぬことだな。どうやったら、うまく笑って楽しみながら死ねるか、いろいろ考えてる。お棺の窓を開けたら、俺がニッコリ笑うとか、そういう仕掛けを作るのもいいかな。しんみり見送られるより、笑って見送られたほうがいいな。「なんで死んじゃったんだろうな」って思ってもらえそうじゃない。
(聞き手/石原壮一郎)
※週刊朝日 2018年8月3日号