子どもがいない、あるいは子どもがいても将来的にも自宅に住まないのであれば、「自分で使い切る意識」(同)で介護費用に充てるとよいそうだ。ただ、評価額が低めに抑えられるなどの問題点もある。

 国内でリバースモーゲージを取り扱っているのは、都市銀行や一部の地銀、信用金庫など。また、公的なものでは長期生活支援資金貸付制度(厚生労働省主導のもとで各都道府県の社会福祉協議会が実施)や、住宅金融支援機構が提供しているものがある。

 親子やきょうだい間の介護の場合はどうか。『親の介護には親のお金を使おう!』の著者でもある太田さんは、「要介護者である親やきょうだいのお金を使うべき」と話す。

「基本的には、介護は要介護者の生活を豊かにするためのもの。介護される親やきょうだいのお金を使うのはむしろ当然です。介護者にも生活があり、100年生きるとしたらその分の蓄えも必要です」(太田さん)

 同書によると、月々にかかる介護費用は在宅の平均で5万円。施設だと11万7千円になる。

「これはあくまでも平均の金額。大事なのは“介護にいくら掛けられるか”。これはそれぞれの家の事情によって大きく異なります。多くの人は親の財産がどれくらいあるか聞くことを躊躇(ちゅうしょ)しますが、まずは現状を知って、どれくらい介護費用に充てるか考えることが先決です」(同)

 決してひとごとではない老老介護。超老老介護もあり得るなかで、介護される側とする側、どちらになっても後悔しないよう、しっかりとシミュレーションしておくべきだろう。(本誌・山内リカ)

週刊朝日  2018年8月3日号より抜粋