■世界共通!? 掛け算の順番

 私が中学受験をした際には、この順番は決して間違えないようにと塾で徹底的に教えられました。そのおかげか、高校になって数学を勉強したときに、たとえ式の順番はバラバラでも、頭の中では「3個入りのリンゴが」「2箱」と順序立てて考えられたので、「今、何を求めているのか」がハッキリしていたように思います。

 これだから日本は面倒くさい……と思うかもしれませんが、この掛け算の順番は、実は英語圏、アジア圏でも共通なのです。

 個人的には、全国の学校が式の中に単位を書き入れてしまうように教えていけば、分かりやすくなると思います。「リンゴ4個入りの箱が2つでリンゴは合計何個になるか」では、答えで「個」を求めるため、式の最初の単位も「個」になります。4個が2箱分ある場合は(4+4)なので、分かるのは個数となり、4個×2箱となります。ただ、「式の中に単位を書いてはいけない」という頭の固い先生もいるのも事実です。正解かどうかは学校や先生による、などというローカルなルールでバツになってしまうのは、趣旨と離れたところで数学嫌いや苦手意識をつくってしまうような気がします。

 息子も小学校になれば、きっとその定番である「算数問題」にぶち当たると思います。そのとき、もし親として納得できない点があるなら、それこそまさに、算数で培われる能力である、「論理的に」先生に質問して「なぜこの答えがバツなのか」と問う必要があります。それに対して学校側が、大した理念も持たずに「決まりだから」と答えてきたら、もうしつこく聞いても感情論になってくるでしょう。

 勉強を教えられるのは学校だけではないのですから、そんな学校に合わせる必要はなく、家で親が説明してあげたほうが早いでしょう。私は、息子が理不尽なバツに遭遇したら、親である自分が答えようと思いますが、算数の時点で「順番はどちらでも一緒」だと覚えさせることはしないと思います。

 まあ、今は幼稚園なので、少しの足し算と、100を全部数えられるようになったくらいで、本当に気が早い話なのですけれどね。

◯杉山奈津子(すぎやま・なつこ)1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』『「うつ」と上手につきあう本 少しずつ、ゆっくりと元気になるヒント』など

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杉山奈津子

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杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』『「うつ」と上手につきあう本 少しずつ、ゆっくりと元気になるヒント』など。ツイッターのアカウントは@suginat

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