事情を話すと、

「泊めてあげますけれど、ここは教育施設だからアルコールは禁止。タバコは受付の前でしか吸えません」

 と低い声で言う。

 教室を改装した部屋でベッドに横たわると、ねぐらを確保できた安堵感がこみ上げてくる。一休みしてタバコを吸いに行くと、老人が話しかけてきた。

「東京からですか?」
「はい、だいたい」
「今夜は、教え子たちが集まっているのですが……」

 聞けば、老人はここが廃校になった当時の教頭だという。今日はたまたま村を出て町に就職した教え子たちが、旧体育館で会合を開いているというのである。

「東京のお客さんと話ができたら、みんな喜びますよ」
「いいんですか?」

 元教頭に連れられて、宿舎から少し離れた旧体育館の扉を開けると、いきなり巨大な甲本ヒロトの顔が目に飛び込んできた。舞台のスクリーンにザ・ブルーハーツのライブ映像を流しているのだ。舞台の前では、数人の若者が音楽に合わせて踊り狂っている。

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