逆に、日本から若くしてメジャーの世界に飛び込む選手も現れた。ロイヤルズと16歳の結城海斗投手がマイナー契約を結んだニュースには驚いた。今春中学を卒業したばかりで、日本の高校に進学せず、日本人選手としては史上最年少で大リーグに挑戦するという。

 過去に前例の少ない挑戦については「無謀」と批判する声、「勇気」をたたえる声が双方上がる。だが誰かが開拓しなければその道は開けない。強い心を持って臨んでほしいとは思う。

 日米のこういった動きを見るだけでも、野球界も本当に国際化が加速すると感じる。結城選手の挑戦の良しあしを論じるわけではないと前置きした上で、一つ思うことがある。それは日本の才能を無条件で海外に流出させていいものなのかという純粋な思いである。

 はっきり言って、規制をかけるルール作りは難しいだろう。選択の自由の問題だからだ。流出を防ぐには、プロ、アマ、そして育成方法、プロ野球界全体で魅力ある組織を作り上げるしかない。高校野球の地方大会などの結果を見ると、連合チーム名をよく目にする。少子化の問題も横たわる。明確な答えのない、難しい問題である。

週刊朝日  2018年7月27日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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