猛暑のさなか、「豆乳アイス」が人気だ。紙パックの豆乳飲料を冷凍庫で凍らせる新たな食べ方。消費者のSNSでの発信がきっかけとなり、キッコーマン飲料は「売れ行きが好調」という。同社は20日から「豆乳アイスキャンペーン」も展開し、消費者発の情報がメーカーの販売戦略を動かしている。
「SNS上で豆乳が話題になることは、これまでも何度かありました。ただ、今回ほど商品の実売に結びつく経験は初めてです。アイスとして食べるという、手軽で簡単に試せる切り口が受けているようです」
そう話すのは、キッコーマン飲料営業企画部の荻生康成さん。日本豆乳協会認定の「豆乳マイスター“プロ”」だ。
豆乳アイスの作り方は簡単。200ml入りの豆乳を凍らせるだけ。パック上部横の部分を開いてから冷凍庫に入れると、凍った後で中身を取り出しやすい。容器に移せば、お手軽スイーツの完成だ。「バナナ味で試したがおいしかった」「量が多くて安くておいしい」「ダイエットにも使えそう」。こんな口コミが広がり、話題を集めている。
キッコーマン以外のどのメーカーの豆乳飲料でも楽しめる。ただ、紅茶、バナナ、マンゴー、メロンなど多彩な味の豆乳飲料(フレーバーもの)をそろえる同社の品が、特に人気だ。
萩生さんはこう話す。
「フレーバーものの売り上げは近年横ばいでした。今年、豆乳アイスが話題になってからは、ぐっと売れ行きがよくなっています」
消費者発の情報を機に話題になった商品として、日清食品の「10分どん兵衛」が記憶に新しい。カップ麺の待ち時間を、メーカー推奨の5分から10分に変えると、「だしが麺に染み、のど越しもよい」などと話題に。お笑い芸人のマキタスポーツ氏の発信がきっかけだ。日清食品が「5分でお客様においしさを届けるということに縛られすぎていて世の中の多様性を見抜けていなかったことを深く反省しております」との“謝罪文”を出したことも手伝って、多くの消費者が試すようになった。