夏フェスで起こる熱中症は労作性熱中症に該当する(※写真はイメージ)
夏フェスで起こる熱中症は労作性熱中症に該当する(※写真はイメージ)

 うだるような暑さが続く、今年の夏。熱中症についてのニュースを聞かない日はありませんが、そんななか注目したいのは、近年規模の拡大を続ける「夏フェス」。夏の一大イベントとして参加人数も増加しており、音楽を聴きながら嗜むおいしいお酒もフェスの醍醐味のひとつ! しかし、そこには熱中症という思わぬ危険が潜んでいます。観客だけでなく、ロックバンド「ゲスの極み乙女。」のボーカル・川谷絵音さんも出演した音楽フェスで熱中症になっていたことを自身のツイッターで明かしていました。夏フェスで熱中症にならずに最後まで楽しく過ごすために、正しい水分補給方法を救命救急医に聞きました。

*  *  *

 夏フェスは、真夏の野外で朝から晩まで、時にはオールナイトで音楽を楽しむイベント。暑い中、野外でからだを動かすため、熱中症になる危険性もあります。総務省の発表によると、2017年夏、野外で熱中症により搬送されたのは7351人。熱中症は一過性のものであっても、重篤化すると命を落とす危険性があります。

 せっかくの楽しい夏のイベント。最後まで楽しく過ごすため、熱中症にならないためにはどうすればいいのでしょうか。東京都立多摩総合医療センターの救命救急センター長であり、日本救急医学会「熱中症に関する委員会」の委員長を務める清水敬樹医師はこう話します。

「一般的に、熱中症は『労作性熱中症』と『非労作性熱中症』の大きく分けて2種類あります。『労作性熱中症』とは、暑いことがわかっていながら炎天下のもと、スポーツなどでからだを動かしたり工事現場などでの作業で起きる熱中症のことを指します。若くて健康な身体の人に起きることが多いです。『非労作性熱中症』とは、屋内で汗もかかずのどの渇きにも気づかずになる熱中症のことを指します。高齢で身体的にも弱っている人が、暑さに対する反応が鈍っているために起こります」

 夏フェスで起こる熱中症は労作性熱中症に該当します。予防するには何をどのくらい飲んだらいいのでしょうか。

次のページ
暑いからアルコールはNG