カジノ法案については、実際にギャンブル依存症だった人からも疑問の声が…(※写真はイメージ)
カジノ法案については、実際にギャンブル依存症だった人からも疑問の声が…(※写真はイメージ)
元関脇の貴闘力さん
元関脇の貴闘力さん

 豪雨被害への心配が高まるなか、国会では政府与党側が攻勢に出ている。

【写真】5億円負けた経験があるという貴闘力。カジノ法案については…?

 参院の議員定数を6増やす公職選挙法改正案について、野党の反対を押し切って採決を強行。参院本会議で7月11日、賛成多数で可決した。衆院での審議も急ぎ、22日までの今国会中に成立させる方針だ。

 これには災害の混乱を利用するようなものだとの指摘が相次いだ。大雨への警戒を気象庁が呼びかけるなか、安倍首相が5日夜に東京・赤坂の衆院議員宿舎であった自民党議員の懇親会「赤坂自民亭」に出席していたことも批判を招いた。

 国会でのもう一つの焦点がカジノ法案(統合型リゾート実施法案)だ。6月19日に衆院を通過し、政府与党は成立に向け突き進む。

 立憲民主党の福山哲郎幹事長は、政府与党の姿勢に疑問を示す。

「本来、災害対応をすべき石井啓一・国土交通相を、カジノ法案のために国会審議にしばりつけている。信じがたい状況です」

 カジノ法案を巡っては、ギャンブル依存症の人が増えるとの反対が根強い。政府側は観光客や税収の増加が見込めると主張しているが、具体的な経済効果については算出していない。野党側は、米国などのカジノ業者の要望に沿って成立させようとしているなどとして、反発を強めている。

 法案ではギャンブル依存症対策として、入場料を6千円に設定し、入場回数も「7日間で3回、28日間で10回」に制限している。だが、福山幹事長は懸念を強める。

「依存症に対する最大の対策は、ギャンブルの場をつくらないことでしょう。さらに問題なのは、カジノ事業者が客に金を貸し付けることができることです」

 カジノ事業者は、預託金があるなど一定の条件を満たした客に金を貸せる。負けを取り戻そうと、金を借りてでも勝負して借金漬けになる人が出かねない。パチンコ業者はもちろん、競馬や競輪など公営賭博でも許されていないことだ。

 カジノ法案については、実際にギャンブル依存症だった人からも疑問の声が出ている。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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