加藤剛さん (c)朝日新聞社
加藤剛さん (c)朝日新聞社

 テレビドラマ「大岡越前」や映画「砂の器」などで多くの人に親しまれた俳優・加藤剛さんが、6月に胆嚢(たんのう)がんのため亡くなっていたことがわかった。80歳だった。

 真面目な人柄で、時代劇での凜(りん)としたたたずまいが印象的だった。「江戸むらさき特急」など、時代劇を元ネタにしたギャグ漫画家・ほりのぶゆきさんの作品にも、加藤さんの役柄をオマージュしたキャラクターが登場する。ほりさんは、加藤さんを「難敵でした」と語る。

「真面目な時代劇の俳優さんは私のようなふらちなパロディー漫画家の『大好物』なのですが、加藤剛さんの“完璧な真面目さ”には、いじる隙がないのです。それでもなんとかいじりましたが(笑)」

 俳優の山口崇さんは、加藤さんと早稲田大の学生劇団のころから親交がある。「大岡越前」では1970年のシリーズ開始当初から、将軍・徳川吉宗役で共演し続けた。訃報(ふほう)を聞いた日はショックで、「一日じゅう胸が痛かった」と盟友の死を悼む。

「そりゃあ寂しいですよ。プライベートでは、『剛ちゃん』『崇(たか)ちゃん』と呼び合った、60年にも及ぶ付き合いでしたから。僕も今年、膵炎(すいえん)で短期間入院したのですが、すごく痛かった。剛ちゃんは胆嚢でしたが、さぞかし痛かっただろうなという気がします」

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