「それ以来、出荷が追いつかない状況が続き、昨年になってまともに回転するようになったと思っていたのですが……」(同)

 1カ月分ほどの在庫はあるが、新しくつくるには1カ月以上かかるため、次の新酒が途切れる可能性があるという。ネット上ではすでに、「入手困難」をうたって高値転売を狙う出品が相次いでいる。

 水害に見舞われたが15年に本社蔵を建てたことで、被害が最小限に抑えられたとの指摘もある。山口県内の醸造関係者は言う。

「建設に50億円以上投資したといわれ、資金は大丈夫かなと余計な心配をしていました。今回、古い蔵のままだったら獺祭は全滅していたでしょう」

 隣県の広島などでも、伝統ある複数の酒蔵に被害が出た。物流の遅れもあって、日本酒の品不足が心配されている。名酒を「適正価格」で楽しめるよう、一日も早い復興を願いたい。(守田直樹)

週刊朝日  2018年7月27日号