死刑が執行された麻原彰晃
死刑が執行された麻原彰晃

 死刑執行されたオウム真理教の麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚(63)の遺骨をめぐる騒動が勃発した。松本元死刑囚の四女(29)の代理人の滝本太郎弁護士は都内で会見し、「遺骨をパウダーにして、太平洋に散骨する」意向を表明。四女の母親(59)やアーチャリーと呼ばれた三女の松本麗華さん(35)が反発しており、状況は混沌。オウム真理教の元幹部で、「ジョーティス」のホーリーネームを持っていた中田清秀氏は今、どう考えるのか。

【写真】現在の中田清秀氏

「四女は、松本家とは縁を切ると裁判までやって、出ていった人。それなのに、代理人の滝本弁護士が四女をかついで、実父の遺言があったから、遺骨は四女のものだと言いだすのはおかしいと思う。司法と組んで、オウム真理教の後継団体及び関係者をつぶしたいという別の目的があるのではないか。奥さんは離婚していないんだから、遺骨は当然、奥さんと家族のもとへ返してやるのが筋道だと思う」

 遺骨は当面、東京拘置所で保管された。松本元死刑囚の家族は妻のほかに6人の子ども(長女、次女、三女、四女、長男、次男)がいる。死刑が執行された翌日(7日)、妻や三女、長男らは遺体と対面したが、拘置所の職員から「遺体を引き渡せない」と、拒否されたという。

「麻原は既に拘置所にいるときから廃人になっていた。ものもしゃべれない。満足に食うこともできなくて、アーとかウーとかわけのわからんことをしゃべるだけ。それなのにハッキリと、『オレの死骸は四女に任せるから後は頼むぞ』なんてことを本当に言ったのだろうか」

 滝本弁護士は会見で、遺骨を海に散骨する理由について、墓地が聖地になるのを避けるためと説明した。

「要らないものは海に捨てるというのはどうか。どこの海に遺骨をまくかは秘密にするらしいけど、こっそりと散骨したら、それはそれで社会問題だよ」

 地下鉄サリン事件などを引き起こしたオウム真理教。滝本弁護士は再びオウムの後継団体が増大することに、遺骨が使われてはいけないと警鐘を鳴らした。

著者プロフィールを見る
上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

上田耕司の記事一覧はこちら
次のページ
オウム在籍時は死刑になった早川紀代秀の部下だった