ただ、報道後、クリンスマンも田嶋幸三会長も否定する言葉を残している。

 他に、外国人の候補で名前が挙がっていたのが、フランス人のアーセン・ベンゲル氏。

 1995年、96年と名古屋グランパスで指揮した経験があり、イングランド・プレミアリーグの名門アーセナルでは20年以上に渡り指揮をとった。2017・18シーズンを持って退任し、現在フリーの立場だ。日本サッカー協会は過去何度もアプローチしたと言われる。ただ、本人がじっくりとチーム強化に携われるクラブチームでの指揮を好むとされ、今回も実現は難しそうだ。

 興味深いのが、過去のW杯後より日本人監督待望論が非常に強いことだ。上野さんは、日本人監督を待望する。

「自国開催だった2002年日韓大会は別にして、ベスト16入りした2010年南アフリカ大会(監督は岡田武史氏)も今大会も日本人監督でした。W杯至上主義とはいいませんが、結果は出してきました。また、これまで、自国出身ではない監督が率いたナショナルチームが、優勝したことはありません。もちろん、海外から情報や育成制度などキャッチアップする必要はありますが、日本が今後本気で優勝を目指すのであれば、自国の監督を育てるべきではないでしょうか」

 確かに、過去、W杯で優勝したブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、イングランドなど全て自国出身の監督だった。今大会の決勝に進んだフランスとクロアチアも自国出身の監督だ。

 上野さんはさらに指摘する。

「外国人監督の場合、どうしてもスタッフも外国人で固めることが多く、交代の都度、リセットされてしまいます。今回のように、西野監督、スタッフにリオ五輪監督だった手倉森誠コーチ、森保五輪代表監督をいるようなオールジャパン体制は良いと思います。長期的にも常に知見が引き継がれていくことで、日本のサッカーというのが確立していくでしょう。そうなると、やはりロシア大会でベンチ入りしている手倉森さんや森保さんが次期監督になるのは良いと思います」

 木崎さんは別の観点からも日本人監督になるのではないかと分析する。

「ハリルホジッチ前監督とのハレーションが大きくて、外国人監督を雇うリスクというのを協会は痛いほど味わったでしょうし、その後遺症を考えると日本人になるのではないでしょうか」

 さらに日本代表も、欧州強豪国と同じく、先生タイプよりオーガナイザータイプの監督の方が合う段階に入ったのではないかとも指摘する。

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西野監督が短期間で結果を出したのを見て