小泉純一郎氏(撮影/写真部・東川哲也)
小泉純一郎氏(撮影/写真部・東川哲也)
小泉進次郎氏 (c)朝日新聞社
小泉進次郎氏 (c)朝日新聞社
小沢一郎氏 (c)朝日新聞社
小沢一郎氏 (c)朝日新聞社

 9月に総裁選を控える自民党が、小泉進次郎氏の動きに神経をとがらせている。進次郎氏が事務局長を務める超党派で国会改革に取り組む「『平成のうちに』衆議院改革実現会議」が7月5日、開催され、野党からも国民民主、日本維新の会などの中堅・若手議員が参加。自民党からは浜田靖一元防衛相、福田達夫防衛政務官らも参加した。

【写真】小泉進次郎氏

「将来の政界再編をにらんだ布石ではないか」(自民党中堅議員)との臆測が広がる中、父・純一郎氏が動きだした。自由党の小沢一郎代表の政治塾で15日、特別講演を行うのだ。

 かつて自民党でライバルだった2人を結びつけた石川知裕元衆院議員は本誌にこう語る。

「『小泉さんに脱原発の講演をしてもらったらおもしろい』という話が出て小沢先生に打診したら、『ぜひお願いしよう』と快諾。小沢事務所が小泉事務所に連絡を取ると、数日後にご本人から『この話、小沢先生、知っているの』と問い合わせがあり、OKしていただいた。小泉さん側が頼んだという一部報道も出ましたが、間違いです」

 実は小泉氏と小沢氏は「脱原発」ですでにタッグを組んでいる。小泉氏が1月に発表した「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」をたたき台に、自由、立憲民主、共産、社民の野党4党が3月、「原発ゼロ基本法案」を衆院に共同提出。小泉氏は本誌の独占インタビューで「原発再稼働を推進する安倍首相が交代しないと原発ゼロに舵は切れない」(4月27日号)と断言した上、安倍首相に「3選はないね」「国民はあきれてんだよ」と引導を渡した。だが、安倍首相は国会でモリカケ疑惑をかわし続け、着々と9月の総裁選で3選するべく派閥票固めに走りだした。すると小泉氏は5月、原発再稼働が争点となった新潟県知事選で自由党などが支援した野党候補を激励。だが、結果は与党候補に敗北した。

「次の政界再編は、憲法9条改正、右か左かではなく、原発を将来どうするかというテーマでドラスティックにやったほうがいいと考えています。私個人としては、小沢先生は小泉さんとも意見が合うと思っています」(前出の石川氏)

 総裁派閥の細田派は政界再編と小泉親子の動きをこう警戒する。

「党内では昭恵夫人責任論も収束し、安倍さんは麻生派、二階派の票を固め、様子見の岸田派、竹下派も最終的には勝ち馬のうちに乗るだろう。だが、安倍さんの対抗馬になる石破(茂)氏と進次郎氏がタッグを組めば、ガラリと戦況が変わる。総裁選で原発問題なんか持ち出されたら、混沌としてくる危険性もある」(細田派関係者)

 小泉氏は4月の本誌のインタビューで総裁選候補についてこう語っていた。

「原発ゼロというのは、河野太郎外務相が私より先に言いだした。もし、河野さんが原発ゼロを主張して総裁選に出たら、どうなるかわかりませんよ。岸田(文雄)氏、石破氏は原発には言及していないね」

 その河野外相も進次郎氏の衆院改革実現会議に姿を見せている。

「安倍さんは前回、石破氏に大差をつけられた地方票を挽回するべく地方行脚、自民党議員らと写真撮影、会合を重ねている。だが、小泉親子の動き次第では一寸先は闇となるかも……」(自民党中堅議員)

(今西憲之/本誌・森下香枝)

週刊朝日  2018年7月20日号

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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