精神科医で成城墨岡クリニック(東京都世田谷区)の墨岡孝院長は、人生にはハマりやすいタイミングがあると指摘する。

離婚や家族の死など、ストレスや不安が高まったときは注意が必要です。結婚やマンションの購入など、たとえ前向きのことでも大きな決断をしたときは、『これでよかったのだろうか』と不安になりがちです」

 いったんのめり込んでしまうと、他人のアドバイスは伝わりにくい。セルフチェックで問題に気づくようにすべきだ。墨岡さんへの取材を基に、5つのチェックポイントをまとめた。

 当てはまるようなら、自分の行動を落ち着いて見つめ直そう。

「言われたことを日記などに書いて、それを後から読み直して、自分はどう思うのか考えるといいでしょう。書くことで少し自分を突き放して、客観的に見ることができます。占師やセミナーの主催者らが言うことをうのみにするのではなく、自分と向き合うのです」(墨岡さん)

 とはいっても、幸せビジネスには誰しもハマりやすい。「かけるお金は絶対に10万円まで」などと、最初から条件を厳しく設定しておくことも有効だ。

 心理カウンセラーら専門家の話を聞きたいときには、自治体やNPOの無料の窓口がある。支払った額が高額だったり、何度も請求されたりする場合は、全国の消費生活センターに相談することもできる。

 元気をもらうはずの幸せビジネスで、不幸になっては元も子もない。幸せは神秘の力に頼るのではなく、自分の手でつかんだほうが良さそうだ。(本誌・大崎百紀)

【チェックポイント】
■常識外のお金をつぎ込む(10万円以上)
■占師に言われたことを自分の意識とは無関係に優先
■時間の大半を占いやセミナーなどに費やす(スマホなどで常にチェックする)
■家族の意見を聞かなくなり反発することがある
■「あの人でないとダメ」と特定の占師を絶対視

※週刊朝日2018年7月13日号