8.「ドラえもん おばあちゃんの思い出」(73年テレビ放映 約30分)


優しかったおばあちゃんにもう一度会いたくて時空を超えたのび太

 1973年以後、何度もリメイクされた作品。子どもが小さいとき一緒に見たという人も多いはず。ドラえもんの数ある作品の中でもシニアの胸にジーンと響くのがこの作品だ。ある日物置で昔おばあちゃんが作ってくれたぬいぐるみを発見したのび太。自分が幼稚園のときに他界したおばあちゃんに会いたくてたまらなくなり、ドラえもんとタイムマシンに乗る。

 昔のわが家にはおばあちゃんと3歳の自分がいた。おばあちゃんにわがままを言って困らせる幼い日の自分を見てのび太は反省の涙を流す。おばあちゃんの部屋に飛び込むのび太。そこでおばあちゃんと話すうち、おばあちゃんが自分がのび太だと気づいていたことを知る。そしてのび太はおばあちゃんが心残りにしていたことを果たしてあげて、おばあちゃんを喜ばせるのだった。

 ジャイアンには殴られ、スネ夫にはバカにされ、テストはいつも0点ののび太を、なぜしずかちゃんが見限らないのか不思議だったが、この回でのび太の人としての優しさが改めて輝く。のび太はおばあちゃんの優しさをちゃんと受け継いでいるのだ。

 おばあちゃんの「いつまでも生きてのび太の面倒を見たかった」というセリフに涙が止まらなくなる人も多いだろう。時間の果てまで孫と一緒に暮らしたいと思う人を含めていろんな人に見てもらいたい。

9.「鉄人28号 白昼の残月」(2007年劇場公開 95分)
戦後まもない日本の風景を舞台に2007年によみがえった人気ロボット

 1963年1月から「鉄腕アトム」のアニメが放送され、10月から「鉄人28号」の放送が始まった。子どもたちはみんなテレビにかじりつくようにして見ていた。アトムは自分で考えて行動するが、鉄人は金田正太郎の持つ無線操縦機で動かされるので、少年たちはいつも悪のPX団に奪われることを心配していた。

 とにかくアトムと鉄人は全国の少年少女に大人気だった。そしてこの鉄人28号が2007年にふたたびよみがえったのだ。舞台は戦後まもない日本。特攻帰り、帰還兵、謎の結社など昭和30年代の少年漫画雑誌の定番ともいうべきキーワードが満載となっている。

 そして話の内容も正太郎という特攻帰りの男が少年探偵正太郎の兄だと名のり、人間には害がなく建物などを破壊する廃虚弾を回収するために謎のロボットと戦うときに正太郎よりも鉄人を上手に操縦するのだった。そして「残月」と呼ばれる謎の軍人が正太郎の命を狙う。いろいろな謎を抱えながら物語が展開して鉄人の活躍が続き大団円(懐かしい言葉)に向かっていく。戦後の懐かしい風景がたっぷり見られる作品でもある。

次のページ
夏になると観たくなる!10位は…