イオングループのキャッシュレス化に関する記者会見 (c)朝日新聞社
イオングループのキャッシュレス化に関する記者会見 (c)朝日新聞社
自行のATMか特定提携先ATMを使った場合。新生銀行は10月7日から新生プラチナと新生ゴールド以外は1回108円。公表資料をもとに編集部作成
自行のATMか特定提携先ATMを使った場合。新生銀行は10月7日から新生プラチナと新生ゴールド以外は1回108円。公表資料をもとに編集部作成
主な銀行のATM設置台数
主な銀行のATM設置台数
CD・ATMによる支払金額
CD・ATMによる支払金額

 街角にあふれ、財布代わりにお金を出し入れできるATM(現金自動出入機)。最近、使い勝手が少し悪くなってきた。銀行は超低金利で経営が厳しく、“コストの塊”ATMを見直しているためだ。手数料無料で使える範囲を狭める銀行もある。ATMの使い勝手を確認し、手数料を無駄遣いしないように気をつけたい。

【銀行によってこんなに違う!ATMの手数料無料で引き出せる日時の一覧はこちら】

 ATM見直しの象徴的な存在となったのが、新生銀行。これまで「全国どこでも使える提携ATM約10万台」とうたい、提携コンビニATMから引き出す際、手数料は24時間365日無料としていた。

 しかし、10月7日以降、預金残高など一定の条件を満たさないと、手数料が有料になる。利用客の3分の1ほどが、手数料有料化の対象になるという。

 メガバンクなどのATM手数料は、平日の日中のみ無料が一般的。銀行によって、ATMが無料で使える日時や条件は違う。大手行の関係者はこう話す。

「ATMは稼働させているだけで費用がかかり、コストの塊。平日は銀行窓口で預金通帳を使ってお金を無料で引き出せる。それに合わせ、ATMも無料で引き出せるようにしてきた」

 お金の入出金は、銀行の儲けにならない。一方で、ATMを置くだけで、警備や現金輸送、保守点検などの維持管理費がかかる。

 超低金利が続き、銀行は貸出金と預金の利ざやで稼ぐ主力業務が厳しい。メガバンクなどは店舗や人員を減らしており、ATMの見直しもコスト削減の方法の一つになる。メガバンクのATMは、合計2万台にも及ぶ。

 三菱UFJ銀行と三井住友銀行は、ATMの共同利用を協議し始めた。ATMは顧客の利便性の象徴で、かつては各行が台数を競い合った。駅前など、別々のメガバンクのATMが併存する場所も多い。共通化すれば、銀行はコストを抑えられ、顧客はATMを探し回る必要がなくなり便利だ。

 全国銀行協会のCD(現金自動支払い機)・ATMの提携取引状況によると、提携先に設置されたATMやCDでの預金引き出しは減り続けている(自行の本支店間取引を除く)。一方で、既存の銀行とは違う新興勢力が顧客を獲得し、事業を広げてきた。

 流通系やネット系などの新興銀行は、引き出し手数料を常に無料にしたり、休日・夜間などの無料の条件を旧来の銀行より緩めている。低コスト運営や独自の収益モデルにより使い勝手のよさを実現している。

 経済評論家の横川楓氏はこう指摘する。

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