そしてあふれる団地愛。今でこそ老人ばかりの古びた団地だけど、昔は夢のニュータウン。住民の笑顔が輝く正しい団地を取り戻したい。寺内さんはひとり団地警察として行動開始だ。

 御用聞きを引っ張り込んで、昼下がりの情事を実践してる団地妻がいれば、回覧板に隠しマイクを仕込んで、営みを団地中に生放送。ゴミ出しの規則を守らないアル中おやじは、なぜか風呂場で不審死。

 幽霊部屋と言われ、ドアにお札が貼られてる一室に、密かに出入りする寺内さん。夜も更ければ団地内の敷地をザックザク掘り返してる。あやしい、あやしすぎる。でもそれは、子供たちに宝探しをしてもらうため、プレゼントを埋めてただけですから~。ほんとかよ~。

 住民誘ってカラオケ大会や、太極拳やってるし、隣の奥さんに手作りごはんご馳走してあげるし。やっぱり寺内さん、いい人なんじゃない? 孫娘の両親(寺内息子&妻)は殺してるかもしれないけど。

 と、サノシロだけにサイコな殺人鬼なのか、サイコないいおじいちゃんなのか。どっちにしろサイコだけど、どっちに振れるかわからないこのドラマ。とりあえず貰ったドアノブカバーは使うことにします。

週刊朝日 2018年7月13日号

著者プロフィールを見る
カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など。

カトリーヌあやこの記事一覧はこちら