日大の第三者委員会が行った会見の様子(撮影/上田耕司)
日大の第三者委員会が行った会見の様子(撮影/上田耕司)
内田元監督(右)と井上元コーチ(撮影/AERA dot.編集部・福井しほ)
内田元監督(右)と井上元コーチ(撮影/AERA dot.編集部・福井しほ)
田中英寿理事長 (c)朝日新聞社
田中英寿理事長 (c)朝日新聞社

 日大アメリカンフットボール部による悪質タックル問題を調査している日大の第三者委員会は6月29日、東京都内で中間報告を発表し、危険タックルは内田正人前監督、井上奨前コーチの指示で行われたと認定した。その後、OBら日大関係者が部員らをキャンパスに呼び出し、内田前監督らの関与について口封じを図るなど組織ぐるみで隠ぺいしていたことが明らかになった。

【田中英寿理事長の写真はこちら】

 しかし、日大のドン、田中英壽理事長の責任について記者らに言及されると、ノーコメントと語る一幕もあった。

「きのう(28日)の夜から朝までかかって、この中間報告書をまとめました。証拠と合わない部分があってはいけないので、一昨日のものとは違う形になりました」(第三者委員会の勝丸充啓委員長)

 その報告書では「タックルは、内田前監督と井上前コーチの指示で行われたものと事実認定。しかし、田中理事長の管理責任を記者に問われると、こう答えた。

「ガバナンスの問題ですので、学長も理事長もまったく無関係ということではございません。ただ、基本的に組織ラインとしては運動部のラインは学長のライン。理事長のラインは人事とか経営でまた違う。これからの検討課題としてご理解いただきたい」(勝丸委員長)

 勝丸委員長によると監督、コーチと選手との主張はまったく異なっていたという。第三者委員会は約70人から聴き取り調査を行い、140人以上にアンケートし、うち120人から回答を得たという。

 内田氏、井上氏からも直接何度か聴き取りをした。本誌が「内田氏らは何と答えたか」と質問すると、勝丸委員長はこう回答した。「内田氏、井上氏についてはヒアリングを行っております。今回認定したようなことについては再否定している。回数についてはお答えを差し控えさせていただきますけれども、丁寧にヒアリングをしまして、反省しているとは私どもは認定していない。要するに反省していないなと思ったということでございます」

 なんと、2人はいまだに危険タックルの指示は否定し続け、反省もしていないというのだ。

 内田氏の監督辞任で空白となっている次期監督の公募は6月19日から28日まで行われ、京都大学の元アメフト監督で、京大を4度日本一に導いた水野弥一氏(78)が候補にのぼっていると報道された。次期監督についてはこう話した。

「こういうふうな反則行為をした(内田)前監督でありますので、こういうタックルをしてはいけないという監督でなければいけないと思います。そうでなければ怖くて、日大と試合ができないんだろうと思います。今回の事件では選手と監督とでは言っていることがまったく異なっている。この人なら大丈夫だと信頼のおける方を監督として希望する点です」(勝丸氏)

 日大アメフト部は29日から練習を東京都内のグラウンドで再開したという。第三者委員会の最終報告書は7月末に出る予定だ。

著者プロフィールを見る
上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

上田耕司の記事一覧はこちら
次のページ