逆に開幕から好調だった西武は守護神の増田が失点を重ねている。代わりにカスティーヨを起用する案も出ているようだが、夏の戦いへ向けて、救援陣の整備がカギを握るだろう。先発投手は菊池を中心に頭数はそろってきている。破壊力抜群の打線がある程度の得点をとってくれるので、「勝ち試合を落とす」ことをどれだけ減らせるか、にかかってくるだろう。

 昨年の王者ソフトバンク、そしてセ・リーグの広島は、ともに投手陣が不安定で、今年は他球団にとって大きなチャンスでもある。ソフトバンクは不振の武田をオールスターまで救援に回すなど、バランスを取ることに必死だし、広島は大瀬良の奮闘が目立つが、先発投手の頭数が足りない。シーズン終盤まで投手陣の整備に時間がかかるようだと混戦となる。

 開幕から約70試合戦い、すでにチームのどこを補強すべきか見えている状況となった。フロントは最後の戦力補強へと動くだろうし、現場の監督はいま一度、1、2軍の選手全体を見渡して、選手の特徴を見抜き、起用時期を探ってもらいたい。どの球団も決め手がない。今年のペナントレースは面白くなりそうだ。

週刊朝日  2018年7月6日号

著者プロフィールを見る
東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

東尾修の記事一覧はこちら