毛が生え変わるときに色素細胞を生み出すのが、色素幹細胞です。色素細胞が作れなくなるのは、この色素幹細胞が減少するためだといいます。

「色素幹細胞がなぜ減ってしまうのか、詳しくはまだわかっていませんが加齢に伴って減っていきます。ストレスのほか、遺伝や環境などの要因もかかわっていると考えられます。ただ、ケース・バイ・ケースで、家族に白髪が多いからといって必ずしも自分もそうなるとは限りません」

「太陽(紫外線)に当たりすぎると白髪になるのでは」という声もありますが、西村医師は「よほど毛が薄くならないと、紫外線は毛包にある色素幹細胞まで影響しませんし、まず関係ありません」「ネットで拡散した都市伝説ではないでしょうか」と話します。

■白髪は再び黒髪に戻ることもある

 1本の髪の毛に白髪部分と黒髪部分が交ざっているものもよく見かけます。これは色素細胞が活性化したり休んだりと働きが不安定になっていると、起こる現象と西村医師は言います。

「加齢、栄養状態の不良などさまざまなストレスで色素細胞の働きが不安定になり、白髪になることがありますが、一時的に白髪になっても色素幹細胞のプールがあれば、あらたに毛が生え変わるとまた黒髪に戻る可能性があります」

 頭の髪の毛よりもさらにショックなのが、ひげや鼻毛、陰毛などに白髪を見つけてしまったとき。何か悪い病気なのではと不安になったりしますが……。

「体毛ならどこでも白髪になり得ます。基本的には頭髪と同じような仕組みによると考えられます」

 一番気になるのが、白髪の予防法。白髪にならないための対策はあるのでしょうか。

「白髪を予防する特定の食品など明らかな有効性が確認できているものはありません。ただ、喫煙の習慣やメタボ傾向はリスク因子との研究結果はあります。過度なストレスを避け、栄養バランスのいい食事や適度な運動、いい睡眠など、一般的に体にいいとされる生活を送ることが最善の予防策といえるでしょう」

(文・石川美香子)