「まずは占有者、その家に住んでいる人の責任ですが、これは、損害の発生を防止するのに必要な措置をとっていた場合、今回のブロック塀の場合には鉄筋や控え壁で倒れないようにしていたという場合には、占有者の責任に関しては免れることができます。一方で家の所有者には、補強等の措置をとっていたとしても、条文上所有者には責任を免れるという記載はありません。自宅の場合には占有者と所有者は同一であることが多いと思いますので、責任を負う可能性は高いといえます」

 このような事故が発生した場合、被害者の家族や遺族に対する慰謝料を支払うことになる。

「けがの場合には治療費、亡くなった場合にはご本人だけでなく、ご遺族への精神的な負担のぶんも慰謝料として計算されます。亡くなった場合、その後もらうことができる賃金を厚生労働省による平均賃金に基づき計算し、賠償金が請求される場合もあります」(徳原弁護士)

 補強以外にできる対処法としては、ブロック塀を低い位置のみ残し、上の部分をアルミ柵に改修したり、生け垣等に変更する方法もある。そのための助成金が用意されている地域も少なくない。2011年の東日本大震災を機に、倒壊のおそれのあるブロック塀等の撤去や改修費用の一部を助成する制度を採用している東京都文京区地域整備課の担当者はこう話す。

「区内の傾いていたり破損したりしているブロック塀については、助成をしてでも改修してもらおうと取り組みを開始しました。今回の地震を受け、問い合わせは増えています」

 まずはチェックを。(本誌・太田サトル)

週刊朝日 2018年7月6日号