そしてトランプさんはこんなこともいった。朝鮮半島が非核化すれば、将来、米軍の韓国からの撤退はありうると。それが上手くいったら、次は日本かもしれない。米韓合同演習も、金がかかるという理由で、中止する意向を示したしさ。

 抑止という名の脅し合戦は、各国のリーダーたちのやめようという強固な意志がなければ止まらない。その金は、自国や、世界の困っている人たちに使われるべきなのに。

 トランプさんは、「北朝鮮の経済支援は日本と韓国で」といってきたが、考えてみればだよ、防衛費も経済支援もどちらもうちらの税金。抑止のため人殺しの武器を揃えるより、まだ北朝鮮の飢えている国民を助けるために使われたほうが気分がいいかもしれない。

 しかし、世の中の考えは違うみたいだ。北朝鮮の脅威が去ったと思ったら、すぐメディアは『中国脅威論・祭り』をおっぱじめた。なんで平和に向けて、今、動こう、という話にならないのか。

週刊朝日 2018年7月6日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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