勝ち点3だけでなく、自分たちの力に対する自信や、ユニホームへの誇りを目覚めさせてくれる勝利。それがコロンビア戦であり、道の先に待っていたものだった。

 大会前の期待値が極端に低かったことは、この勝利による熱狂の度合いを逆に高める結果となるだろう。西野監督はもとより、選手たちに対するメディアやファンの扱いも一変するに違いない。元来、わたしはそうした動きを冷ややかに眺めている質だが、今回に関しては、水をさそうとは思わない。むしろ、どんな称賛であっても彼らがなし遂げたことの大きさに見合ったものにはならないのではないか、とさえ思う。

 まさしく歴史的な、そしてエポックメイキングな勝利だった。

 だが、まだ1試合である。コロンビア戦の勝利は世界を驚かせたが、それでも、前回王者ドイツを真っ向からの打ち合いで倒したメキシコほどではない。日本にはまだ、やれること、やるべきことがある。

 仮にセネガル戦が考えうる最悪の結果に終わっていようとも、日本は決勝トーナメント進出の可能性を残して最終戦を迎える。

 相手のポーランドは、レバンドフスキというワールドクラスの点取り屋を擁する強豪チームである。数週間前までの日本であれば、警戒心という名の「過剰な敬意」を捨てきれないまま試合に臨んでいたかもしれない。

 しかし、コロンビアと五分に組み合った末の勝利は、どこか卑屈だったW杯における日本を、根本から変えるはずである。

 勝機は、ある。

 とはいえ……。

 本音を言えば、セネガル戦を終えた日本が勝ち点6を獲得し、最終戦が消化試合になっていてくれたりしたら嬉しいのだけれど。

週刊朝日 2018年7月6日号