この金額で運営が可能なのは、自前の開放型シェルターと動物病院を持つ強みと、これまでに6千匹以上のを譲渡してきた実績があるからこそだと、代表の山本葉子さんは話す。

「何歳でも、どんな猫でも、いつでも引き取る契約なので、一人暮らしで突然倒れたとき、認知症になったときに、すぐに引き受けることができます」

 すでに実績は、120件を超えているという。

「保険なので積み立ててくれる方が多いほど、そのお金でガーディアンのほかの猫たちを助けられます。猫が自分より先に逝ってしまった場合でも『ほかの子に使って』と解約しない方もいます」(山本さん)

 こんなケースもあった。

「集合住宅にお住まいの方から『隣人の一人暮らしのおじいさんが認知症で来月ホームに入所するのに、飼い猫と離れない』と連絡がありました。近所のみなさんが心配し、『ねこのゆめ』の費用はカンパで集め、おじいさんも説得するから猫を引き取ってくれないかと頼まれました。83歳のおじいさんで、3歳のアメリカンショートヘアを飼われていました。ペットショップで購入してしまったのでしょうね……」

 そのほか「ねこのゆめ」に加入することで、ペット可の老人ホームに入居が可能になったケースもある。

 ただし、注意点もある。一度「ねこのゆめ」でガーディアンに引き取られた猫を、「病気が治って退院できたから」などの理由で、再び飼うことはできない。

「うちは老猫ホームではないので、猫の所有権をガーディアンに譲渡してもらう形になる。愛情のあるなしではなくシステムとして、一度手放した方に再譲渡はしないと決めています」

 そうした点を含め、最期までペットと暮らす方法を探す際には、じっくり検討を重ねてほしいと山本さんは言う。

「ペットの里親探しや引き取りをする団体のなかには具体的な里親探しの方法や団体の設備、実績を示さず、低価格だけをうたうところもある。信頼できる団体か、くれぐれもきちんと精査してください」

(ライター・中村千晶)

週刊朝日  2018年6月29日号