前出のPLNは15年から「わんにゃお信託(R)」をスタートさせた。PLNと終生飼養契約を交わすことで、もしものときにPLNが責任を持ってペットの飼育を引き受けるか、新しい飼い主を探してくれる。

 わんにゃお信託(R)には「遺言」「定期」「積立」など五つの種類があり、基本的な仕組みは【1】~【3】と同じだ。入院や老人ホームへの入居でペットの世話ができなくなることが確実な場合には「わんにゃお遺言」、これからペットを飼い始める人には「わんにゃお積立」など、自分に適したものを選ぶことができる。

 吉本さんは話す。

「一人暮らしの高齢者にとって、家に体温のある生き物がいるのは大変な安らぎ。シニアが安心してペットを飼える状況を作りたいと始めました」

 実際に使われた例を教えてもらった。

「『わんにゃお信託(R)』を利用された方の飼いは、飼い主さんが亡くなられた後、PLNが探した新しい里親さんのところで元気に暮らしています。老人ホームへの入居を機に『わんにゃお遺言』をされた70代の方は、われわれが探した新しい飼い主さんに猫を託し、いまも定期的に面会をされています」(吉本さん)

【1】~【3】とは別の方法でペットを助ける団体もある。日本初の保護猫カフェの運営と譲渡を行うNPO法人「東京キャットガーディアン」(以下ガーディアン)は15年から「ねこのゆめ~成猫のお引き取りと再譲渡事業~」を行っている。毎月3800円(6年満期)の積み立て、もしくは一括27万3600円を支払うことで、依頼されたときにガーディアンが猫を引き取り、新しい里親を探すか、終生飼育を行う。

 ガーディアンと飼い主が結ぶ「猫のための終身保険」のようなシステムで、保障される期間は猫の一生涯。契約後に、もしほかに猫を引き取ってくれる人が見つかるなど必要がなくなれば中途解約や満期後の解約も可能だ。事務手数料数千円の出費のみで全額が返ってくる。

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