「まずは顔のウォーミングアップです。『くちゃくちゃぱっ』のポーズは顔全体の筋肉をほぐし、血液とリンパの流れを促進するのに役立ちます」

 続いて「あっかんべー」のポーズ。

「ここからは舌の筋トレになります。目線を上にして舌を『ベー』と出しながら、口から息を吐いてください。目線はそのままで一度舌を戻し、そして鼻から息を吸ってから、舌を出して息を吐き出して。これを5回繰り返してみましょう」

 顔や肩の力を抜き、舌を思い切り下に長く出してからひっこめる。これだけでも結構、顔の筋肉が動いているのが感じられる。

「そうしたら次は『おいしい顔』のポーズに進みましょう。これは舌の先を口角で上に向かってとがらせます。そして舌を反対側の口角に移動させて、舌先をまたきゅっと上に向けます。これを3往復やってみてください」

 ラストは舌を鍛え、耳下腺の詰まりを改善するという「こめかみストレッチ」のポーズだ。

「ゆっくり頭を倒し、首筋をストレッチしましょう。頭を倒したほうに舌を長~く伸ばし、口から息を『はぁ~っ』と吐き出して。舌は出したままで鼻から息を吸い、口から吐くを3回繰り返します。そして反対側も同様に」

 このポーズを行う前に耳下腺まわりを上にぐ~っと押して、痛みやかたさを確認してみよう。

「そしてポーズ後にもう一度耳下腺まわりを押すと、かたかったところも結構ほぐれていませんか? 耳下腺から分泌される唾液には、若返りホルモンである『パロチン』が含まれています。唾液の分泌を促して、口の中を潤わせながら若々しさもアップ。これはまさに一石二鳥のポーズなんです」

 この四つのポーズは朝、外出前に行うのがおすすめ。

「“朝、顔にスイッチを入れるヨガ”。そんなふうに考えて、毎日の習慣にしていただくといいと思います。舌を動かし、毎日表情筋を鍛えていると、笑顔の質も変わってくるんです。頬がきゅっと上に上がって華やかな笑顔ができるようになると、自分の笑顔に自信が持てるようになります」

 笑顔が素敵な人の元には、人が集まる。

「この長寿の時代、皆で会話を交わしながら楽しく生きていけることが一番幸せではないでしょうか。そう考えると唾液は幸せの原点。毎日の顔ヨガでしっかり分泌させましょう」

(赤根千鶴子)

週刊朝日 2018年6月29日号