菅原氏によると、6代目(山口組)の体制になってから、どんどん情報統制が厳しくなり、組にもマスコミにも情報が行き渡らなくなったという。

「重要でなければいいんです。でも、日本が戦争になる前夜なわけですよ。経営者(組長)としては、国民に危険だから避難してくださいとアナウンスしなければいけないのにしない」

 怒りからの発信を続ける一方、菅原氏はツイッターの有用性を実感した。

「僕のつぶやきを見て、情報を知る組員もいる。次に考えたのが、これを逆手にとれば、情報操作できるなと思った。フォロワーは2万人くらいになっていました。例えば、僕は東京にいながら、パソコンができれば位置情報の嘘ができるわけですよ。ツイッターの位置情報を名古屋にして『名古屋なう』とつぶやくわけですよ。これは情報撹乱ができるし、その情報に対する動きも確認できる。すごいツールだなと思いました。一種の社会実験なんですよ(笑)」

(編注:ツイッターは設定することで、つぶやいている場所を表示できる)

 結局、その後、菅原氏の組は騒動後に解散し、菅原氏はヤクザの世界から足を洗った。現在は元経済ヤクザとしての経験を生かし、作家や評論家として活躍している。

 ただ、菅原氏はツイッターをやるにしても、なぜ「組長」の前に「」がつけられていたのだろうか。そこには計算があったという。

「もともと猫好きではあったんですが、マーケティングの結果です。ツイッターを研究すると、ツイッターの中で多かったのが犬よりも猫(のアカウントやツイート)だったので、猫組長にしました」

 組長といえば怖いが、猫組長とすれば、不思議なことに数十年前にブームにもなった「なめ猫」的な可愛さを感じるし、もし犬組長といわれると、どこかネガティブなイメージが出てしまう。菅原氏はさらにツイッターのアカウントのアイコン画像についても研究した。

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そして徹底的に考え抜いたアイコン画像は…