野崎氏の告別式での出棺の様子
野崎氏の告別式での出棺の様子

 紀州のドン・ファンこと、野崎幸助氏(77)が急性覚醒剤中毒で変死した事件はミステリーに包まれている。キーパーソンはテレビに出て潔白を訴えた55歳年下の妻(22)とメディアから姿を消した家政婦(66)だ。そして同じく変死した愛犬からも覚醒剤反応があったというのだが……。

【写真】在りし日の野崎幸助さんと妻

 6月15日、フジテレビのインタビューで妻が潔白を訴えるのをテレビで見ていた野崎氏の会社の従業員はその感想をこう言う。

「まあ、自分に都合いい話ばかりしていました。社長の家は冷蔵庫にビールを足しに来る従業員であれば誰でも入れると、いかにも第三者が関与しているような話をしていました。でも、従業員はビールなどを自宅に持っていっても玄関に置いてすぐ帰ります。社長が亡くなったとき、遺体はかなり硬直して口から紫色の液体を出していた。その後、お棺に入れられた社長を見ましたが、とても苦しそうな表情でした。葬儀社の人が笑っている表情に直してくれましたが……」

 野崎氏が怪死した際、自宅にいたのは妻と家政婦の2人。だが、謎はあまりに多い。その謎を五つに分けて検証してみる。

 一つ目の謎は死因となった覚醒剤だ。家政婦は当初、メディアの取材に対し、「覚醒剤が野崎氏の寝室の引き出しにあった」と証言したが、妻は15日のインタビューで「なかった」と否定。次の新証言をした。

「社長の前の女の人が覚醒剤をやっていたと家政婦から聞いていた。その人の荷物がガレージに置かれており、(和歌山県警の)家宅捜索のとき、その人の郵送物の中から注射針が出た」

 その女性は野崎氏と結婚の約束をし、荷物を送ってきたという。捜索で注射針を発見した和歌山県警はすでに女性から事情を聴いているという。

 そして家政婦は東京・六本木の自宅が家宅捜索される前日(6月2日)までテレビに出て無実をアピールしていたが、それ以降、姿を消した。家政婦は野崎氏が経営する会社の取締役にも6年前から名を連ねる。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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