中学1年のとき長男の誕生日にスマホを与えた。すでに同級生の大半がLINEをする時代だった。

「子どもたちが真夜中までメッセージを送り合っていた。未読のメッセージが100、200とたまっていくんですよ」(明美さん)

 明美さんがLINEをのぞくと、長男抜きで話が進んでいた。「仲間外れになってない?」。心配になって尋ねてみたが、「自分には関係ない話題」と気にするそぶりもなかった。一方、中学2年の次男は暇さえあればスマホをいじる。

「通知表もほとんど5段階評価の『3』で、成績は中の中ですね」(明美さん)

 川島教授らの調査によると、強い意志でスマホに向き合えるのは高校生でも1割程度。残りはスマホとの“主従関係”が逆転し、食事中でも操作し、睡眠時間も犠牲にしている。

「一握りの前者がエリートへの道を歩む一方で、後者の子どもらは自身も知らないうちに学力をそぎ取られ、将来への可能性まで奪われてしまう。つまり、スマホ依存が、大人になったときの経済格差を広げる要因になり得るわけです」(川島教授)

(本誌・永井貴子)

週刊朝日 2018年6月22日号