ただ、今回のBPはもちろん、先月12日、監督が不在だったときにイチローがコーチとしてベンチ入りしたのも“話題作り”であることは間違いない。マリナーズはイチローに対し、カネを払っているのだから使わなきゃ損、と考えて利用しているように思えて仕方ない。この春にイチローがマリナーズに復帰するとなったとき、地元シアトルのファンは諸手を挙げて喜んだわけではなかった。ヤンキースに移籍していく前のイチローのイメージが悪かったからだ。

「“イチ・メーター”で有名になった女性など一部のイチローのファン以外のマリナーズ・ファンからは、ミーイズムな、自分のことしか考えない選手だからいらない、と思われていましたからね。BPのような裏方的な仕事をするのは、そういう悪評を払拭する格好の材料です」(同前)

 イチローには、地元のファンの信頼を回復し、選手との関係を良好にすることで期待できることがある。

「現場のコーチ、監督としてマリナーズに残る可能性も出てくるわけで、大リーグでずっとやっていく、という強い意志の表れだと思いました。イチローの日本球界復帰の可能性は消滅したんじゃないですか」(同前)

(黒田朔)

週刊朝日 2018年6月22日号