正しい「遠距離介護」とは?(※写真はイメージ)
正しい「遠距離介護」とは?(※写真はイメージ)
遠距離介護を受ける側のポイント(週刊朝日 2018年6月15日号より)
遠距離介護を受ける側のポイント(週刊朝日 2018年6月15日号より)
“親子の介護予防ギャップ”意識調査から(週刊朝日 2018年6月15日号より)
“親子の介護予防ギャップ”意識調査から(週刊朝日 2018年6月15日号より)

 同居から別居・遠距離介護の時代へ。その道のプロによると、地元へ帰る「Uターン介護」、自分の家で同居する「呼び寄せ介護」は2大間違いだという。では、ふるさとの親はどうやって介護すればいいのだろうか。

【図】遠距離介護を受ける側のポイントはこちら

 実際に遠距離介護を始めてからわき上がる、よくある疑問をまとめた。離れて暮らす親のケアをする人たちを支援するNPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さん、4年以上にわたって遠距離介護を続けてきた、ノンフィクションライターの中澤まゆみさん、都内で居宅介護支援を行う主任ケアマネジャーの渡辺孝行さん(たから居宅介護支援)が答える。

■救急車で運ばれたら?

 親が救急搬送されたからと言って、それが命に関わるようなケガや病気でないこともある。「まずは冷静に、情報収集を」と中澤さんは呼びかける。自身は出張先の京都で「母親が救急車で搬送された」という電話を父親から受けたことがある。

「父は焦っていましたが、母がそれほど緊急性を要さない状態のようだったので、すぐには帰れないと伝えました。その後、訪問看護師に電話で状況を聞き、翌日、帰省しました」

 情報収集先として頼りになるのが、ケアマネだ。

「親御さんの担当ケアマネの名前や、居宅介護支援事業所の連絡先を介護保険証などわかりやすい場所に記しておけば、万が一、搬送されても、そこの医療機関が担当ケアマネに連絡をとることができます。また、今年4月の介護保険法改正で、ケアマネが担当する高齢者の介護や医療に関わる情報を入院先の医療機関に積極的に提供するしくみができました」(渡辺さん)

■親が一人暮らしで心配

 夫婦二人で暮らす場合と違い、一人暮らしの介護は同じ遠距離介護でもより不安が高まる。そんなときに利用したいのが、“見守りサービス”だろう。見守りサービスにはカメラなどを用いたものから、郵便局や宅配サービスなどが通常の仕事にプラスして実施しているものなど、さまざま。太田さんは言う。

「サービスを導入する際は親にきちんと説明するように。とくにカメラの設置はプライバシーの問題があるので、勝手に取り付けないこと。本人が嫌がっているのに付けるとトラブルになりますし、コンセントを抜いてしまうので見守りになりません」

 身近な見守りとして強い味方になるのは、“ご近所さんの存在”だ。帰省する際にはお土産を用意して、近所にあいさつ回りをしながら親の様子を聞くといいだろう。

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