手塚治虫文化賞の贈呈式前に取材に応じる矢部太郎さんら。(左から)ほんこんさん、板尾創路さん、矢部さん、石田靖さん、木下ほうかさん
手塚治虫文化賞の贈呈式前に取材に応じる矢部太郎さんら。(左から)ほんこんさん、板尾創路さん、矢部さん、石田靖さん、木下ほうかさん
矢部太郎さんに突っ込みながら祝福する先輩たち
矢部太郎さんに突っ込みながら祝福する先輩たち

 手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の短編賞を、「大家さんと僕」(新潮社)で受賞したお笑いコンビ「カラテカ」の矢部太郎さん(40)。6月7日の贈呈式の前に、東京・築地の浜離宮朝日ホールで囲み取材があった。

【矢部さんに突っ込みながら祝福する先輩たちの写真はこちら】

 「大家さんと僕」には、矢部さんが大家さんと暮らす日常が、ユーモアを交えて描かれている。お笑い関係者のエピソードも含まれているとあって、囲み取材には所属する吉本興業から先輩たちが駆けつけた。ほんこんさん、板尾創路さん、石田靖さん、木下ほうかさんの4人は矢部さんを祝福しつつ、お笑い芸人として“いじる”ことも忘れない。

 ほんこんさんは「矢部先生でしょう。お金の話しかしませんからね」と突っ込み。単行本が30万部を突破したことに絡めて、「無駄遣いするな、税金がくるぞ」と以前言ったことも明かした。

 これには矢部さんも、「いま言わなくたっていいでしょう」と苦笑い。

 木下さんは矢部さんと最近会えなくなったことをネタにした。

「前は週4日くらい会っていたのに、最近は誘っても会ってくれない。これは調子に乗ってはる。いまが頂点なんやから、あとは落ちていくだけ」

 板尾創路さんや石田靖さんも作品はほめつつ、矢部さんを軽くたたくなど、最後まで突っ込みあふれる囲み取材となった。

 矢部さんは先輩たちに感謝しつつ、

「お笑いをやっていたからこそ描けた。漫画とお笑いどちらも楽しい」

 として、漫画家とお笑いの両立を宣言した。

 受賞はみなさんのおかげで、「恩返ししたい」という矢部さん。「ご立派になられました」と喜んでくれた大家さんには、伊勢丹で買ったハンカチをプレゼントしたという。

「喜んでくれたんですが、『わー、大切にしまわさせていただきます』と、大家さんは箱に戻してしまったんです」

 矢部さんは贈呈式を前に緊張していると言いながら、芸人としてのボケも欠かさなかった。

 お笑い芸人が手塚治虫文化賞を受賞するのは初めてだ。選考委員で漫画家の里中満智子さんは贈呈式でこう絶賛した。

次のページ