冒険って、人間の本質的な欲求なんじゃないでしょうか。アフリカで生まれた人類が同じ場所で悶々としているだけだったら、何かあったら全滅してしまう。山の向こうには何があるんだろう、知らない世界を見てみたいと好奇心を抱いてチャレンジしてきたから、今がある。人類のDNAに、冒険を求める気持ちが組み込まれているんだと思います。

 山の頂上にたどり着こうと思ったら、まずは一歩を踏み出す必要があります。ふもとをウロウロして眺めているだけでは、永遠に登れません。自分で目標を立て、それに憧れや願望を抱き、行動を起こすことが大事だと思う。夢や目標がある限り、今より、もう一段高みに行ける。夢を追い続けている状態を、幸せと呼ぶのではないでしょうか。

「もう一つの自分史」は、まったく想像できませんね。どの道を選んでいても、静かに暮らすなんてできそうにないから、似たようなことをしていたんじゃないかな。

(聞き手/石原壮一郎)

週刊朝日 2018年6月15日号