一方、その籠池夫妻をあれだけ長く勾留しながら何一つ疑惑に切り込めなかった大阪地検特捜部に対する不信が渦巻いている。

 公用文書毀棄容疑で佐川氏らの告発状を提出していた神戸学院大学の上脇博之教授が怒る。

「昭恵夫人付政府職員が財務省に“口利き”したことが文書に赤裸々に書いてあったから、財務省は改ざんしたのです。昭恵氏が関わったからこそ8億2千万円もの無理な値引きが敢行された。それでも罪に問えないなら、政治家の口利き天国になる」

 元東京地検検事の郷原信郎弁護士は上脇教授が提出した告発状に注目する。

「今回は検察が起訴していれば有罪になったはず。なのに起訴しなかったのは、最初から全面不起訴の結論ありきだったからです」

 上脇教授は近日中にも、検察審査会に申し立てを行う予定だ。検察審で「起訴相当」の議決が出てすべてがひっくり返る可能性もまだ残されているという。

(本誌・吉崎洋夫、亀井洋志/今西憲之)

週刊朝日  2018年6月15日号

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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