室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
(c)小田原ドラゴン
(c)小田原ドラゴン

 森友学園の補助金詐欺事件で保釈された前理事長の籠池泰典被告と妻の諄子被告。作家・室井佑月氏は、両被告が開いた会見での発言に注目する。

【「おかえりなさい」…記事の画像はこちら】

*  *  *
 
 森友学園をめぐる事件で10カ月近く勾留されていた籠池前理事長夫妻が保釈された。そして、その夜、会見を開いた。

 奥さんの諄子さんは少し頬がこけてた。でも、かえって若々しくなった感じだ。オッサンもあのまま。300日も3畳間に閉じ込められていたのに、強い人たちである。

 会見の途中で笑ったり泣いたりする諄子さん。オッサンは自分で作った俳句を詠んだりしてみせる。記者に質問されると、オッサンもオバハンもいちいち律儀に、椅子から立ち上がって答えちゃって。

 正直なあたしの感想は、

「この夫婦、可愛らしい」

 だった。

 そりゃあね、彼らは園児たちに教育勅語を暗唱させたり、「安倍首相がんばれ!」といわせたり、漏らしたうんこを園児のカバンに入れお持ち帰りさせたり、そういうとんでもない幼稚園を開いていた。

 園児にうんこのお土産を持たせるなよ、バッチイ。いやいや、そこじゃない、彼らが保護者の人たちに、人種差別的な文書を配っていたのは許せない。

 でも、彼らのそういう考えが、安倍応援団に気に入られたのも事実。

 昭恵夫人はこの幼稚園の教育に感動して涙したり、新設しようとしていた小学校の名誉校長を引き受けたり。

 安倍応援団の文化人なども、嬉々としてこの幼稚園で講演を引き受けた。

 籠池夫妻がメディアに出てなにかしゃべれば、彼らのことを頭がおかしい人だと、安倍応援団のコメンテーターたちはレッテルを貼ろうとする。

 しかし、籠池夫妻を頭がおかしい変な人としてしまうなら、彼らを当初、絶賛していた人たちだっておなじなのだ。

 てか、籠池夫妻にレッテルを貼る人たちは、当初、彼らを絶賛していた人たちというバカバカしさ。

 籠池夫妻が国の補助金を騙しとったといっても、その金は返金済みだ。

著者プロフィールを見る
室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

室井佑月の記事一覧はこちら
次のページ