六本木のミッドタウン付近をパレードする慶應義塾体育会野球部や学生たち。シュールな光景(撮影・大塚淳史)
六本木のミッドタウン付近をパレードする慶應義塾体育会野球部や学生たち。シュールな光景(撮影・大塚淳史)
六本木のミッドタウン付近をパレードする慶應義塾体育会野球部や学生たち。シュールな光景(撮影・大塚淳史)
六本木のミッドタウン付近をパレードする慶應義塾体育会野球部や学生たち。シュールな光景(撮影・大塚淳史)
パレードに登場したクラシックカーは大学所有の車(撮影・大塚淳史)
パレードに登場したクラシックカーは大学所有の車(撮影・大塚淳史)

 海外の首脳が来日?それとも抗議デモ? 6月4日午後6時半ころ、東京・六本木のミッドタウン付近を通りかかると、30人以上の警察官が待機していた。物々しい雰囲気。何か大事件が発生したのか? それとも、海外の首脳が来日してるのか? と頭を駆け巡らせた。

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 さらにミッドタウン前の道路沿いを歩くと、遠くから、巨大な旗を掲げた集団が、道路の脇を歩いてくるのが見えた。旗の色が紺色と赤色だったので、もしかしたら台湾独立を訴える一団かなとも推測した。すると、さらに音楽も聞こえてきた。右翼の街宣車がこんな場所で抗議活動するのかなと、近づいてくる一団をよく見たら、巨大な旗を持った人は学ランを着ていた。

 その後ろには、クラシックなオープンカーがゆっくりとついていた。他にオープンカー3台が連なっていた。乗車している人に目をやると、運転者はややパンチパーマ風で学ランを着ていて、後ろに座る人は、野球帽をかぶっていた。ユニフォームの胸には「KEIO」の文字。

 慶應義塾大学の体育会野球部のパレードだった。

 野球部は春季リーグで2季連続36回目の優勝をした。この日4日にリーグ最終戦を終え、優勝パレードを行なったのだ。

 なんでこんな交通量の多いところをパレードするのか、なかなかシュールな光景を不思議に思い、広報部に問い合わせた。

「体育会野球部は優勝すると毎回、東京六大学の試合会場である神宮球場から、大学三田キャンパスまで2時間くらいかけて練り歩いています。今回は1000人がパレードに参加しました。クラシックカーは大学所有の車です」(広報部)

 神宮球場と三田キャンパスを結ぶ道路ということでパレードのルートになっているということ。Googleマップで調べると、距離にして約4.6キロ。かなり長い距離のパレードだ。

 広報部によると、他の体育会系運動部が優勝しても、こういったパレードは行わず、野球部のみ優勝した際に毎回行うという。東京六大学野球は、戦前から学生スポーツの花形。慶應大学は過去に何度も優勝し、プロ野球選手も多く輩出している。伝統も人気もある野球部だからこそ、パレードを行うのだろう。

 パレードは、吹奏楽の演奏する音楽に合わせて、チアリーダーが行進し、優勝を決めた野球部員たちが手を振りながら歩いていた。六本木らしくない不思議な光景に、遭遇したビジネスマンや外国人観光客たちがスマートフォンで撮影していた。

 ツイッター上には、パレードに遭遇して「渋滞の原因」と嘆いている人もいたが、逆に「パレードが見れてラッキー」と喜ぶ人もいた。夕暮れ時の六本木と交通量が多い中でのパレード。警備が物々しくなるのも仕方ないのだろう。ただ、今時、学生スポーツでこれだけのパレードを行う大学が少なくなった昨今、ご愛嬌かも。(本誌・大塚淳史)

※週刊朝日オンライン限定記事