さらに石田が愛用する眼鏡にもファンからの問い合わせが殺到。石田がブランド名を明かすと、瞬く間に売り切れる事態に。同ブランドを扱う眼鏡店「トリプル」(東京・銀座)の店員は言う。「インスタグラムを見て、“同じものが欲しい”と買いにいらっしゃる方は多い。同じものは早い段階で完売し、“似たものを”とお買い求めになられるお客様も多いです」

 読書好きで知られる石田の存在は、出版業界にとっても光明と言えよう。石田が本を紹介すると、たちまちその本が動くのだ。今年1月に投稿した小説『鳩の撃退法』(佐藤正午著、小学館)は、石田の投稿以降、上下巻合わせて6万3千部を増刷。小学館の担当者は「普段、本を読まない人にも手に取ってもらえるきっかけになった」とほくほく顔だ。

「投稿に“ビジネス臭”がしないことが、支持される大きな理由でしょう」

 SNSを用いたマーケティングに詳しい海野秋生さん(トレンダーズ)は、石田のインスタグラムの影響力について、こう分析する。「芸能人のSNSによく見られる“宣伝要素”が皆無で、あくまで素の自分が好きなものを投稿している。ファンにもそれが伝わるから、余計に影響されやすく、購買行動に結びつく」(海野さん)

 石田の投稿一つで、150万人が動きかねない、この事態。奇跡のアラフィフ、おそるべし。(本誌・松岡かすみ)

週刊朝日  2018年6月8日号

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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