先生は具体例もあげている。たとえば、天皇陛下の退位をめぐる有識者会議では安倍応援団の日本会議系の専門家から「天皇は祈っているだけでよい」という侮辱のような発言があった。

 たとえば、首相の奥様の昭恵夫人は「私は天皇陛下からホームレスまで誰とでも話ができる」と発言する。このことについて、先生は驚愕したという。

<首相が天皇(米国)の代官をやっているうちに、首相夫人は自分が皇后陛下だみたいな気分になってきたようですね>

 といっていた。

 先生の教え。「国体」で育てられなんとも思わない人間は、自由を知らない現代の奴隷だ。支配されている自覚さえなきゃ、奴隷根性がはびこるだけ。

 それは、この国の破局につながる。

週刊朝日 2018年6月8日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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