謝罪しても頭を下げることがなかった高橋市長に、さらなる批判が集まった(c)朝日新聞社
謝罪しても頭を下げることがなかった高橋市長に、さらなる批判が集まった(c)朝日新聞社

「随行先で1時間にわたり、腰に手をまわされたり、お尻を触られ続けた」「エレベーター内で腰を引き寄せられ、体をぴったりとつけられた」……。女性職員の怒りの告発によって、東京都狛江市の高橋都彦(くにひこ)市長(66)が、辞職へと追い込まれた。

 高橋市長は2012年に当選し、現在2期目。市関係者によると、都庁職員時代は青島幸男都知事が決断した都市博中止のブレーン的存在で、市長就任後は、人件費の削減などに手をつけて、市の財政状況を改善させたほか、シティープロモーションの発信に熱心で、「全国で2番目に小さな市」を逆手にアピール。ドラマやバラエティーのロケの誘致に積極的だった。だが、1期目から庁舎内にはセクハラのうわさが飛び交っていたのだ。

 市役所のセクハラの相談窓口に被害の訴えはあったようだが、市長相手に忖度(そんたく)が働いたのか、調査委員会は設置されず、市幹部が市長に対し、それとなく注意していたという。

 市への情報公開請求で職員への聞き取り調査をした文書を入手した共産党市議団が、3月議会で質問に立ち、ようやく明るみに。

 追及の口火を切った共産党の西村敦子議員は「被害者を探して証言を得て、質問内容の確認も取ったのですが、シラを切り通す市長に、とにかく憤りを感じっぱなしでした」と怒り心頭の様子だ。

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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