「潰す」の解釈を巡り、さまざまな議論があるが、内田前監督と井上前コーチの加害者認定も視野に入るだろうか。「選手とコーチ(監督)の関係、要するに、意思決定に対してどの程度、指導者の支配が及んでいたのか」(西村弁護士)という点がポイントになってくるようだ。ここで事前に共謀してその行為(危険タックル)を行うことにしたのであれば共謀共同正犯、当該選手を唆(そそのか)して犯罪を実行させる決意を生じさせたとすれば教唆犯と認められ、正犯と同じ罰が科される。事件化される場合は、タックルをした宮川泰介選手が「潰せ」をどう受け取ったのか、その背景がポイントとなりそうだ。

 前出の新聞記者も、「『相手のクオーターバック(QB)がケガをして秋の試合に出られなかったら、こっちの得だろう』と結びつけて『潰せ』となっている。練習から外され、プレッシャーをかけられていた彼が、その言葉と結びつけて『潰せ』と言われれば、『ケガさせに行け』ととらえるのが自然」と話す。

 騒動の渦中にある日大の宮川選手だが、潔い会見の姿に、称賛の声が相次いだ。美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長はツイッターで「顔を出して謝罪した彼を僕は高く買います。高須グループがほしい人材です」と書き込み、話題を呼んだ。父母会は「彼が戻れる環境を作りたい」と支持を表明。フェニックスのごとく名門は復活を成し遂げるのか。それとも……。(本誌・緒方麦)

週刊朝日  2018年6月8日号