親と一緒が照れくさい年齢になったら、友人と一緒にやる、というのも一つの手段かと思います。家で集まるのもいいですし、塾に行くのも手です。私の妹は中学のときに予備校にいっていましたが、「自習室があるから」「みんなが勉強しているとやる気がでるから」という理由から通っていました。授業はそこまで聞いていなかったのだとか……まさに自分の中の「集団心理」を利用した勉強法です。ただし、塾通いが強制になって、毎週イヤイヤ行くようになっては意味がないどころか、勉強嫌いに拍車をかけるだけです。

 また、以前自分の著書にも書いたのですが、成績を上げる点では「予備校は非常に効率が悪い」と思っています。根拠を一つ挙げると……有名な某大手予備校には東大専門校があり、毎年合格者が100人程度います。しかしその裏で500人、つまり5倍の人数が不合格になっているのです。対して東大の倍率をみると、センター試験で振り落としがあるとはいえ、4人に1人は合格しているのです。受かる人数のほうが少ない環境で、みんなと同じ勉強をしていたって、受かるわけがありませんよね。

 面白い塾をみつければ、「勉強は楽しい」と思えるようになります。私の夫は東大医学部に合格しましたが、まさにそのパターンです。小学生時代に通った塾が楽しかったおかげでいっぱい勉強をして、東大合格者数が最も多い開成中学(中高一貫)に合格しました。そして、特に勉強が嫌いという意識をもたないまま、周囲が東大にいくという「集団」の流れにのって東大にいきました。勉強を「させる」手段として塾は有効ですが、「勉強の点数を劇的に上げるとうたうスパルタ塾」「楽しく教えると評判の塾」など、さまざまな場所があるので、勉強を嫌いにしないかどうかも考慮に入れて、入る前によく下調べしたほうが良いかと思います。

 また、開成を含む進学校では、高3でも学校は3時くらいまでに終わるとよく聞きます。反対に私が通っていた「東大合格者が浪人生を含めて2年に1人いるかどうかというレベル」の自称進学校は、長時間勉強させようと必死でした。夕方5時過ぎまで残って、特別授業を強制されることもありました。単なる問題集の答え合わせばかりなのでサボっていましたが……どんなに長時間拘束して勉強させても、授業の内容が効率的でなく、生徒も疲れて嫌々勉強していたら、点数は上がらないものです。

 「がむしゃらに縛り付けて勉強させる」よりも、「楽しく勉強させてうまく流れにのせる」ほうが、子どもにとっても負担がなく、かつ成績が上がる勉強法なのではないでしょうか。

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杉山奈津子

杉山奈津子

杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』『「うつ」と上手につきあう本 少しずつ、ゆっくりと元気になるヒント』など。ツイッターのアカウントは@suginat

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