私は、学校にいくこと、つまり「勉強すること」が義務であり強制という形式であるために、「勉強が好き」よりも「勉強が嫌い」という人のほうが、圧倒的に世の中の大半を占めているのだと思います。

 勘違いしないでもらいたいのは、勉強するなと言っているわけではないことです。もちろん、勉強は必要だと思っています。勉強を嫌いにさせてしまう現在のあり方を、なんとかできないかと考えたいのです。そもそも、勉強は本来、貴族のたしなみで、教養をつけることは、仕事が終わったあとの自分磨きでした。

■人間の本能「集団心理」を活用する

 では、勉強が嫌いになってしまった子どもにどう勉強を促すか? その解決法を考えた結果、やはり人間の本能にある「集団心理」が有効なのではないかと思いました。

 小さな子どもには、「親の行動をまねする」という習性があります。実際、私が漫画を読んでいると、しょっちゅう息子が近くに来て絵本を読み始め、「この字はなんて読むの?」と聞いてきます。たまに、「ママの絵本は字がたくさんですごいね」と感心されます。パソコンを打っていてもまねしたがるので、壊れたパソコンを貸すと、頑張って分かる文字のキーボードを打っていました。

 こうした「親のまねをしたい時期」に、親子で一緒に机の上で作業する習慣をつけてしまえばいいのです。実際、今は息子と一緒に机にむかい、ひらがなの勉強を楽しくやっています。勉強といっても、クイズや迷路なんかを交えて覚えているので、完全にゲーム感覚で「やろう、やろう」と誘われます。

 子どもでなくとも、人には他人の行動にひっぱられる心理があります。周囲の人間と同じだと安心するのです。ある実験では、1人が空を見上げていても誰も空を見上げないのに対し、3人に空を見上げてもらったところ、通る人全員が空を見上げたという結果が出ました。加えて、日本には村社会が存在していたため、集団から外れるのを嫌う性質が強いように思います。そこを活用するのです。

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