垣添:そうですね。最近、落語家を招いて、患者さんに笑ってもらう試みをする病院が増えてきました。

古村:いいですね。私も気づけば、がんになって、笑いを忘れていたところがありました。

垣添:悩みに集中しすぎると、笑う余裕をなくしてしまいます。上智大学のアルフォンス・デーケン先生が、「ユーモアとは、にもかかわらず笑うこと」とおっしゃっています。私は、非常につらいときに意識的に笑顔をつくると、心が緩んでくるのを発見しました。

古村:口角上げてね。

垣添:そうそう。無理にでも笑顔をつくると、本当に笑えるようになります。ところで、古村さんのブログはメジロや夕日など自然の写真が多く、すてきですね。

古村:北海道江別市の大原野で育ったので、自然があたりまえだったんです。今も家の前が公園で、野鳥などを見ると落ち着きます。

垣添:なるほど。私は、北海道の山はよく登っています。羅臼岳、石狩岳、雌阿寒雄阿寒、大雪山系……。

古村:すごいですねー。

垣添:今、「がんサバイバーを支援しよう」というのぼりを持って、福岡から札幌まで、断続的に歩いているんです。全部で3500キロ。ゴールの札幌では、胃がんのサバイバーでもある高橋はるみ・北海道知事にもお目にかかるんですよ。一緒に歩きませんか?

古村:私も行ってみたいです。

◯こむら・ひろ 1965年、北海道生まれ。85年にデビュー。87年、NHK朝の連続テレビ小説「チョッちゃん」に主演。その後もドラマ、映画、舞台、CMなどで活躍している。著書に『がんを身籠って』(主婦と生活社)

◯かきぞえ・ただお 1941年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒。国立がんセンター中央病院長、同総長などを経て、公益財団法人「日本対がん協会」会長。福岡から北海道まで全国3500キロの「がんサバイバー支援ウォーク」を展開中

※対談の様子(動画)は、日本対がん協会「がんサバイバー・クラブ」で視聴できます。

(構成/中村智志)