スマホというのは、とても危険なものである(※写真はイメージ)
スマホというのは、とても危険なものである(※写真はイメージ)

 SNSで「売文で糊口をしのぐ大センセイ」と呼ばれるノンフィクション作家・山田清機の『週刊朝日』連載、『大センセイの大魂嘆(だいこんたん)!』。今回のテーマは「スマホは危険」。

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 スマホというのは、とても危険なものである。

 先日など、エスカレーターを上り切ったところで、仁王立ちになってスマホをのぞき込んでいる中年のおじさんがいて、後続の人が危うく将棋倒しになるところであった。

 大センセイ、天性のクレーマーであるから、おじさんの横を通り抜けざま、

「危ねぇなー」

 と言ってみたのだが、おじさん、両耳にイヤホンを突っ込んでいたので、大センセイの嫌味はまったく耳に入らない様子であった。

 ゴマ塩頭の、その中年男の横顔をチラッと見たとき、大センセイ、ハッとあることに気づいた。

「同世代だ」

 そして、頭の中で連想ゲームが始まった。

 同世代→八〇年代→ウォークマン→新人類……。

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山田清機

山田清機

山田清機(やまだ・せいき)/ノンフィクション作家。1963年生まれ。早稲田大学卒業。鉄鋼メーカー、出版社勤務を経て独立。著書に『東京タクシードライバー』(第13回新潮ドキュメント賞候補)、『東京湾岸畸人伝』。SNSでは「売文で糊口をしのぐ大センセイ」と呼ばれている

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