セ・リーグでは巨人は岡本、吉川尚が自信を深め、チームに欠かせない戦力となりつつある。一方で、軸となってほしい左腕の田口が少し精彩を欠いている。田口を夏以降の戦いにどう組み込めるかが広島追撃の鍵となりそうだ。DeNAはドラフト1位の東は戦力として十二分に計算は立っている。今永をどういう形で復帰させるかがポイントとなる。阪神は何といっても打線だろう。鈴木や丸が離脱を繰り返しながら首位にいる王者広島。他球団は見えている課題を消化していかないと、独走を許してしまう。

 そしてもう一つ。フロントも大きな決断をしなければいけない。第2次補強というべき外国人選手の獲得だ。各球団の予算の事情などはあるだろうが、現有外国人選手の見極めも水面下で行っている。

 ノルマを果たしながら、恒常的に強い組織を作り上げていく。そこには様々な方法論がある。組織としての大局的なビジョンもあるだろう。どこの社会であろうと、組織論は共通している。プロ野球でいえば、5月、6月こそ、大きく動く時期となる。その辺りも注目すると、また違ったプロ野球の見え方ができる。

週刊朝日  2018年6月1日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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