たまには携帯電話の電源を切ってみよう
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久賀谷医師が勧める5つの習慣
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川村医師が勧める4つの習慣
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 心と体は一つだということを表す“心身一如”。近年の研究で、その仕組みの一端が解明されつつある。興味深いのは、身体の症状の軽減や病気予防には「脳」が深く関わっていること。最新の知見から「病気になりにくい脳」を作るポイントを専門家に聞いた。

【「病気になりにくい脳」になるための医師が勧める9つの習慣はこちら】

 今、欧米などで「脳を整える医療」が注目されている。TMS(経頭蓋磁気刺激)と呼ばれる治療法で、日本では昨年、一部の治療機器に認可が下りたばかりだ。『脳から身体を治す』(朝日新書)の著者で、イェール大で最先端の脳科学研究に携わった久賀谷亮医師は、この治療についてこう説明する。

「TMSは磁気で脳を刺激して神経細胞活動を調整します。うつ病のほか、慢性疼痛、疲労、不眠、耳鳴り、片頭痛、認知症など、多様な症状に対する効果が報告されています」

 ストレスがかかると胃が痛む、緊張すると下痢になる……こうした経験をした人も少なくないだろう。最新の知見では、ストレスで免疫力が落ちると風邪にかかりやすいなど、実は病気のほとんどは多かれ少なかれ脳が関係している可能性が出てきた。

「現代人は脳を酷使する傾向があり、心身に大きな負担がかかっている。病気にかかりやすい状態です」

 こう話す久賀谷医師が自身のクリニックでTMSとセットで行っているのが、マインドフルネスや瞑想(めいそう)などを取り入れた「バランス脳」を作る指導だ。これも米国などで行われている“脳から身体を治す”治療の一環。症状の再発を抑え、新たな病気を予防するという、二つの目的がある。

「初めは疑心暗鬼だった患者さんも、脳のバランスが整い始めると、『疲れにくくなった』『ストレスを感じにくくなった』と言います。メンタルヘルスの観点から取り入れる企業も増えています」(久賀谷医師)

 なぜ脳が身体の不調の原因となるのか。その答えとして昨今、「病気になりやすい人に共通する脳(考え方)」の存在が明らかになってきた。

 病気になりやすい人は「ハイパーセンシティブ(過敏に反応する)」「ネガティブ」「完璧主義」「心がさまよう」といった考え方のクセがあるという。心がさまようとは、一つのことに集中できずにあれこれ考えるクセ、やっていることと違ったことを考えるクセのようなものだ。

「こうした考え方をすると、脳内の『DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)』という回路が過剰に働くのです」(同)

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