沿道の歓声に応えるヘンリー王子とメーガンさん (c)朝日新聞社
沿道の歓声に応えるヘンリー王子とメーガンさん (c)朝日新聞社

 泣いたのはヘンリー王子だった。セントジョージ礼拝堂でチャールズ皇太子に腕を取られて近づくメーガンさんの純白ウエディングドレス姿を認めると、たちまち目がうるんだ。さらに、ベールを持ち上げたとき彼女が幸せそうに微笑むと、こみ上げる涙をこらえることができなかった。結婚の誓いの言葉を述べるとき、声が震えたのは王子だった。一方メーガンさんは終始落ち着いていて、王子の手の上に手を重ねるなど接触を欠かさなかった。

 5月19日の結婚式は、何もかもが異色だった。すったもんだの末、メーガンさんの実家マークル家からは母親ドリアさんのみの参加にとどまった。チャールズ皇太子が手を取るまで、メーガンさんはたった一人でバージンロードを歩んだ。父親トーマスさんがパパラッチと共謀してやらせ写真を出したのち、心臓病の手術で欠席と決まった時、イギリス人の間では、誰が花嫁と共に歩むかの賭けが盛り上がった。一番手はドリアさんだったが、彼女が「荷が重い」としり込み。それならとチャールズ皇太子に直接依頼したのはメーガンさんだった。娘を持たない皇太子は、むしろ喜んで引き受けたと言われる。

著者プロフィールを見る
多賀幹子

多賀幹子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てジャーナリストに。女性、教育、王室などをテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演、講演活動などを行う。著書に『英国女王が伝授する70歳からの品格』『親たちの暴走』など

多賀幹子の記事一覧はこちら
次のページ