この国の「男らしさ」というのを考える。「男らしさ」を英語でいえば、manlyとmasculineがある。マンリーとは、経済力に加え、忍耐や優しさといった美徳を兼ね備えた、いわゆるイギリス紳士を想起させ、マスキュリンは力での支配、制圧、抑圧といったマッチョをイメージさせる。では、日本の男の「男らしさ」とは、いったい何を目指し、どのような存在でありたいのだろう。マスキュリンな筋肉もなければ、マンリーな優しさや経済力を期待することすら難しい。セクハラ問題が吹き荒れる今を見ていると、この国の男らしさとは、女に対して傲慢であることの特権、いつまでも幼稚であることの特権、くらいの意味のようだ。セクハラ罪ついでに「男が女にだけ威張り散らす罪」でもつくりましょうか。

 幼稚といえば、元TOKIOの山口氏が46歳と知り驚いた。若いというより幼い。加齢を感じさせてはいけない職業柄なのかもしれないが、年齢だけみてTOKIOを昭和で言えば、ダークダックスじゃないのか。というか4人になった今、まさにダークダックス……と言っている場合じゃないけど、歌う中年男性グループといえばダークダックスが浮かぶ世代の私にとって、70年代に40代のダークダックスと、今の時代の40代「アイドル」TOKIOの距離が、あまりに遠い。それはこの国の幼稚化なのか、「男らしさ」の質の変化なのか、成熟を嫌う文化の問題なのか。というか、女の状況はこの40年で、どのくらい変わったか。少なくとも幼稚に開き直り、セクハラの意味も分からない77歳(まじか!)が居座るような状況では、変われない。麻生さんには、引退してほしい。

週刊朝日 2018年5月25日号

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北原みのり

北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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